あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─

「……あんた、強いね。まさか、芽愛たちをやっちゃうなんて」



「……」






シエルは、なにも言わなかった。




そして、俺が瞬きしたその瞬間。









シエルは、姿を消した。






と思ったら、いつのまにか、乃亜の背後に立っていた。













速い。



シエルって、こんなに速かったか?








すると、今度は蹴り技を乃亜に入れた。





「っ、あ……っ」







乃亜がよろめく。




世界相手に、戦えている……?







なんで……っ?











そのとき、今まで言葉をしゃべらなかったシエルが声を出した。





その声は、今まで聞いていた声と全く同じ声だった。











「……なんで?」



「は?」



「なんで、白夜を攻撃した?」







シエルが、殺気を出しながらそう言った。



乃亜は、それに怯える様子もなく、言った。







「……復讐のため」



「なんの恨みがある?」



「っ、そんなのお前らが一番わかってる事だろう!?」







乃亜が、声を荒げた。



その様子を、白夜幹部たちが見て、驚く。







「わからないから、説明して」



「っ……うちの副総長を殺したから!! もう、普通の生活を送れていないから!! だから、あたしは……っ!」







待て。




―――――うちの副総長を殺した?








そう言えば、幹部の奴も言ってたな。



でも、殺した覚えなんか……。











「……はっ?」





シエルが、驚いたように声を上げた。



シエル?







「白夜が、殺した? どういうこと?」



「っ、だから! 去年の春に、うちの副総長は白夜に襲撃された!! それで、今でもずっと眠ってるんだよ!!」



「……はあ?」



「副総長は……っ、あたしのお兄ちゃんは!! 気を失う直前に、あたしにこれを託したんだよ……っ」









乃亜が、ばっと、シエルに向かって何かを見せる。



銀色に輝く、それ。






それは、失くしたはずの俺のピアスだった。









「俺の、ピアス……? 乃亜が、持ってたのか……? なんで……」



「これをあたしに渡して、白夜にやられたって言ってた。だから、あたしは白夜に攻撃した」







どういうことだ?



俺のピアスを、持っているのもそうだけど。










俺がピアスをなくしたのは――――。













「はあ……これは、俺のせいだね」







シエルが、静かに言った。



そして、狐の面と、フードをおろす。