あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─


すると、乃亜は、急に俺の方を見た。








「ねえ、月が綺麗だね」




「え、ああ……」







とっさにそう答えた。



乃亜は、ふふ、と笑って嬉しそうにした。




どうしたんだ……?








「玲夜はもっと国語の勉強を頑張ろうよ。夏目漱石って分かる?」




「……誰だっけ。聞いたことある気はする」




「はあ……。まあいいや! おやすみ、玲夜」







いつもの乃亜に戻って、部屋に入って行く。





なんで、夏目漱石……?






そう思っていたけれど、ちゃんと勉強してる奴なら気が付いたかもな。















――――――あれは、乃亜なりの、告白だったんだって。











俺は、それに気付かずに、お風呂に入った。






その日が、まともに『花宮 乃亜』と話した最後の日だった――――。