あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─

「三月は、ただの幼馴染だよ」



「恋愛感情とかは?」



「あたしが、三月に? ないない、ありえない!」





ゲラゲラと笑う乃亜に、ほっとする。




そ、っか。


安心した。





「それに、あたしは……」




少しだけ、顔を赤くしながらそう言う乃亜。








「……好きなやつ、いんの?」








乃亜に、静かに問いかける。



すると、乃亜は目を見開いた。







「……べつに」





そう言いながらも、顔は赤い。



そっか……乃亜は、既に……。






「初めて会ったの、いつぐらい?」





なんとなく気になってそう聞くと、乃亜は少しだけ表情を硬くした。





乃亜……?





その後、にこりと笑って言った。






「初めて会ったのは、小学五年生の頃だよ」







その笑顔が、人形みたいにきれいで、ゾッとした。



あれは、作り笑いだ。








でも、そっか。







―――――絶対、俺じゃねえんだな。






だって、初めて会ったのは今年だろ?










「っていうか、どうでもいいじゃん。そんなの」







そうだよな……追求しすぎると、嫌われるよな。





そこから、また沈黙が広がる。





静かな部屋に、雨の音が……あれ?









「……あれ、雨やんだ?」







乃亜も同じことを思ったようで、呟く。



そして、窓の外を見ると、雨雲は過ぎ去り、月の光が照らしていた。







「わあ……満月だ……綺麗」





月を見ながら、また呟く。



でも、少しだけ寂しそうな表情だ。