あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─

前に夏希さんに教えてもらったんだけどね?



白夜の幹部は、片耳しかピアスを付けていない人もいるんだって。




夏希さんだってそうだ。



付けていないピアスは、彼女さんに渡す、しきたりのようなものがあるんだとか。





だから、琴音ちゃんが、もう片方のピアスを持っている。





あたしがずっと玲夜のピアスを持っているから、玲夜は彼女さんに渡せない。



このままだったら、あたしが玲夜の彼女、みたいなものだ。









――――玲夜と付き合えたら、どれだけ幸せだろうか。






このピアスを、将来、玲夜の彼女さんが付けるんだと思うと胸が痛む。




でも、玲夜の事を裏切るあたしが言える事じゃない。






あたしは、ポケットの中の箱を、ぎゅっと握った。









「乃亜? そこに立って、どうしたんだ?」



「……ううん、なんでもないよ」





変に思われちゃったかな。


あたしは、誤魔化すように、にこっと笑った。





ソファに座っている玲夜。



玲夜の姿を見ると、無性に甘えたくなった。






だって、こうやって一緒に居れる期間も少しだもん。