あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─


あたしも泣きそうになって、俯く。



そのとき、病室の扉が開いた。






「乃亜……来たんだな」



「蒼……三月も」





入って来たのは蒼と三月の二人。



涙は見せられないな、と思って、急いで涙をぬぐった。






「……心拍数も、平常値。これで、少しは安心だな……」



そう言う蒼も、悲しそうな表情をしている。






すると、今までずっと俯いて黙っていた三月が声を出した。





「……俺たち、ずっとこうやって、怯えねえとだめなの?」



「え……?」



「今みたいに、怜が死なないか、すごい不安で。本当に、目を覚ましてくれるのかなって」






ばっと顔を上げた三月は、目から大粒の涙を流していた。



こんなに泣いてる三月、初めて見た……。





「こんなこと言ってごめん、乃亜……。乃亜が一番辛いよな。唯一の血のつながった家族に取り残されるなんて、もう考えたくもないよな……っ」




「あたし、は……っ」






静かにまた涙を流し始めた三月を見て、あたしもぽろっと涙を流した。



もう、人前で泣かないって誓ってから。



あたしは、もう何回泣いただろうか?






「もう、考えたくもないよ……っ。怯えるのも嫌だ。でも、弱いあたしが一番嫌だよ……っ」



「乃亜は弱くない! ずっとこんな辛い事に耐えれる乃亜は十分強いでしょ……っ?」



「弱いに決まってる!! 怜の復讐のためにわざわざ転校までしたあたしが……」







そこで一回区切って、あたしは大きく息を吸った。






「白夜が好きになって、復讐できないなんて考えてるあたしが!! 大切な仲間と敵が、同じくらい大事って思ってるんだよ!? こんなの裏切り行為と一緒じゃん……っ!!」






あたしの大声が、小さい病室に響く。




あたしの本音。





『復讐できない』





これを知って、みんなはどう思うだろう?



裏切りと同然だ。