あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─

「あ、あたしのスマホだ。ちょっとごめんね」




そう言って、あたしはベランダに出た。



着信元は三月だった。





すぐに応答ボタンを押して、耳にスマホをあてる。







「ん、もしもし? どうしたの、三月」



『っ、乃亜!! 大変だ……っ』



「え?」






三月の切羽詰まった声に、表情が硬くなる。



嫌な予感がして、冷や汗が垂れた。







『れ、怜の状態が……悪化、して……っ』












「……え」








それを聞いて、あたしの体が一瞬で冷え切った。



指が震えて、危うくスマホを落としそうになる。





「じょう、だんじゃ、ないよね……?」



『冗談なわけねえだろ、ばか!! 早く病院まで来い!!』



「う、うん……っ」






震える指で電話を切って、あたしは急いで支度をした。


どうしよう……っ?




怜までいなくなったら、あたしは……っ。








急いで服を着替えて、準備を終わらせた。









「あ、乃亜……って、どう、した?」



「ごめん……ちょっと、出かけてくるね」



「は? ああ、わかった……」






あたしの様子を見て何かを察したのか、玲夜はなにも聞いてこなかった。