あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─

【愁 side】





「お嬢、さま……っ」






過ぎ去っていく後ろ姿を見て、俺は茫然としていた。








――――乃亜お嬢さま、なのですか?



――――――いったい、どうして。








髪色も目の色も違う。



身長だって高くなっていた。





俺だって、最後に会ったのは5年前。お嬢様が小学校高学年の頃だ。






だから、お嬢様だ、と言い切れるわけがない。












でも、あの威圧感と殺気。花が開くような笑顔。






――――あれは、間違いなくお嬢様のものだった。










それに、まるで兄――――組長に対峙しているような気分だった。









乃亜お嬢様と、怜様。



この二人が姿を消してから、早五年。





時間が経つのは早いものだ。





漣組に襲撃されて、世界No.1だった皇組は、組長が殺害された影響で現在世界No.2だ。







それに、現組長―――つまり、乃亜お嬢様がいないため、指示は俺が出していた。







乃亜お嬢様と怜様は、俺にとっての姪っ子と甥っ子。



俺よりも二回りほど年下なのにも関わらず、頭の良さも、強さも、あの二人の方が上だった。