あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─














「あ、これとかどうかな? 可愛いんじゃない?」



「うーん、でもこっちもいいと思うんだよね」



「えー、悩む……」






夏祭りの一週間前。



あたしは琴音ちゃんと一緒に浴衣を買いに来ていた。





きっと浴衣なんてもってないだろうし、持ってたとしても小さすぎて入らないと思う。



ということで、買いに来てるってこと。







「金魚の浴衣……? あ、でもあじさいのも可愛いね! シンプルな柄もありだし……!!」



「うーん……あたし、このお花の柄にする! 可愛いし!」





あたしが選んだのは、白の布地に淡い水色の花がたくさん描かれた浴衣。



シンプルだけど可愛い浴衣だ。





「うーん、じゃあ私はピンクの浴衣にしようかな? でも似合うかな……」



「似合うって! 琴音ちゃんめっちゃ可愛いし、きっと似合うよ!」



「そうかなあ……? ありがとうっ」






薄めの茶髪にぱっちり二重の琴音ちゃんには、きっとぴったりだ。






お買い上げも済ませて、あたしたちは一週間後の夏祭りに備えた。