時間の流れは本当にあっという間だ。
つい最近編入してきたはずだったのに、いつの間にか……。
「よっしゃ!! 夏休みだー!!」
夏休みになってました。
「うるせえって、夏希!」
嫌そうな顔をして、耳を手でふさぐ要。
「まあまあ、楽しみなのは一緒でしょ? 私もすっごく楽しみ!」
目をキラキラさせる琴音ちゃん。
「琴音と夏希って、カップルなだけあって本当に気が合うよな。いいなあ」
「気が合うのは俺らもだろ、空!」
夏希さんと琴音ちゃんを見て羨ましがっている空と、そんな空の肩を組む陸。
「はあ……」
この様子を見てため息をつく玲夜。
白夜のみんなを見るのも、もう見慣れた。
もう、あたしの生活には当たり前のようにいる存在だ。
「あ、そうだ! せっかくだし、みんなで夏祭り行かない?」
「夏祭り?」
「あ、乃亜ちゃんは知らないよね? この近くでは、大規模なお祭りが毎年あるんだよ! たくさんの出店があってね、夜にはたくさんの花火も上がるんだ!」
へえ! 楽しそう!
あたしが住んでたところは、そんなに大規模じゃなかったんだよね。
花火も上がらなかったし!
うわあ、楽しみっ!
「あたし、行きたいっ!」
「ふふ、もちろんだよ! 約束ね!」
琴音ちゃんと指切りげんまんをしていると、夏希さんが、そうだ、と声を出した。
「二人ともさ、浴衣でも着てくれば?」
「へ? ゆ、浴衣?」
「うん。普通に、琴音の浴衣姿見たかったんだけど、乃亜ちゃんも着てきなよ」
「えー、あたし似合わないと思うよ?」
「いやいや! 絶対に似合う! それに、そこらへんのみんなも見たいんでしょ?」
にやにやと笑いながら指さす琴音ちゃん。
琴音ちゃんが指さした先には、陸や空、要、そして玲夜がいた。

