あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─





俺が前の事を思い出していると、乃亜が、うーん、と声を出した。



腕を伸ばして伸びをしている姿を見て、はっ、と我に返った。






「んー、なんだか今日は疲れちゃった。玲夜も疲れてるみたいだし、寝よっか」



「あ、ああ……」



「てかさあ、いっつも思ってたんだけど、ソファで寝るの辛くない?」



「いや、別に。乃亜をソファで寝かせる方が嫌だ」



「えー、いいよいいよ。せめて交互とかにしようよ! なんか申し訳ないしさ」



「いや、ダメだ」








俺と乃亜が口論していると、乃亜が驚く発言をした。









「……なら、一緒に寝ちゃう?」



「っ、はあ!?」







危機感ないのか?



仮にでも、俺は男だぞ?





好きな女が隣にいて、寝れるわけねえし、何より理性が……っ。






「いやあ、でも、このままじゃ一生寝れそうにないし。うん、そうしよ!」



「話を勝手に進めるな。俺は良いって言ってな……」






俺が文句を言っていると、急に体が傾いた。






えっ?









気がついたら、俺はベッドに倒れていた。




横を見ると、一緒に寝転がっている乃亜の姿が。







近距離で目が合って、心臓がどきどきと、激しく音を立てる。



やべえ。ばれちまう……。










「えへへ、これで良し、だね!」







いたずらっぽく笑う乃亜。



心臓が鷲掴みされるような感覚を感じる。






ったく、なんでこんなに可愛いんだよ……。










「――――ねえ、玲夜」



「ん?」



「あたしが暴走したら、ちゃんと止めてくれる?」



「ぼう、そう」



「あたしの自我がなくなっても、無理やりにでいいから。あたしを正気に戻してね」



「あ、ああ」



「――――任せたよ? 玲夜」








暴走している姿。


さっきみたいな感じってことだろうか?







また、ああなるかもしれねえってことか。






頭の中で考えていると、隣から規則正しい寝息が聞こえてきた。









は? もう寝たのか?






乃亜の顔を見ると、今度は悪夢を見ている様子はなく、普通に眠っていた。



はあ……こっちの気持ちも知らずに。










「――――好きだ、乃亜」














俺の告白は、静かな部屋に良く響いた。




その夜、一睡もできなくて、次の日は強い眠気に襲われた。




だが、可愛い寝顔を見れたのは、満足だ。