俺が前の事を思い出していると、乃亜が、うーん、と声を出した。
腕を伸ばして伸びをしている姿を見て、はっ、と我に返った。
「んー、なんだか今日は疲れちゃった。玲夜も疲れてるみたいだし、寝よっか」
「あ、ああ……」
「てかさあ、いっつも思ってたんだけど、ソファで寝るの辛くない?」
「いや、別に。乃亜をソファで寝かせる方が嫌だ」
「えー、いいよいいよ。せめて交互とかにしようよ! なんか申し訳ないしさ」
「いや、ダメだ」
俺と乃亜が口論していると、乃亜が驚く発言をした。
「……なら、一緒に寝ちゃう?」
「っ、はあ!?」
危機感ないのか?
仮にでも、俺は男だぞ?
好きな女が隣にいて、寝れるわけねえし、何より理性が……っ。
「いやあ、でも、このままじゃ一生寝れそうにないし。うん、そうしよ!」
「話を勝手に進めるな。俺は良いって言ってな……」
俺が文句を言っていると、急に体が傾いた。
えっ?
気がついたら、俺はベッドに倒れていた。
横を見ると、一緒に寝転がっている乃亜の姿が。
近距離で目が合って、心臓がどきどきと、激しく音を立てる。
やべえ。ばれちまう……。
「えへへ、これで良し、だね!」
いたずらっぽく笑う乃亜。
心臓が鷲掴みされるような感覚を感じる。
ったく、なんでこんなに可愛いんだよ……。
「――――ねえ、玲夜」
「ん?」
「あたしが暴走したら、ちゃんと止めてくれる?」
「ぼう、そう」
「あたしの自我がなくなっても、無理やりにでいいから。あたしを正気に戻してね」
「あ、ああ」
「――――任せたよ? 玲夜」
暴走している姿。
さっきみたいな感じってことだろうか?
また、ああなるかもしれねえってことか。
頭の中で考えていると、隣から規則正しい寝息が聞こえてきた。
は? もう寝たのか?
乃亜の顔を見ると、今度は悪夢を見ている様子はなく、普通に眠っていた。
はあ……こっちの気持ちも知らずに。
「――――好きだ、乃亜」
俺の告白は、静かな部屋に良く響いた。
その夜、一睡もできなくて、次の日は強い眠気に襲われた。
だが、可愛い寝顔を見れたのは、満足だ。

