あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─

「――――もう、友達ですらない」



「えっ?」



「もう、俺の事を友達だと思ってるわけねえだろ……」



「……喧嘩したの?」



「喧嘩じゃない。でも、もうあいつは俺のことが嫌いだと思う」











あいつは、俺のせいで……。











「シエルは、白夜の幹部だ」



「え? 幹部って、もう一人いたんだ?」



「ああ。強さはそこまでだが……本気には感じなかった。遊びでやってるみたいな感じだった」



「シエルさんとは会えないの?」



「……もう、どこにいるかすらわかんねえよ」










そう言ったとき、脳裏に『あの日』の映像が流れる。









『玲夜!! ここは俺がやる!! 他の奴ら連れて先に逃げろ!』



『はあ!? お前ひとりじゃ無理だろ!』



『舐めないでよ。大丈夫、きっと俺の友達が玲夜たち白夜を守ってくれる』



『とも、だち?』



『―――なら、わかってくれるはずだよ。きっと』



『……っ、絶対、帰って来いよ』



『わかってる』










それが、最後。






あれからは、どうなったかわかんねえ。















あの日の事は、鮮明に覚えている。



死の恐怖を感じたときだった。






動揺して、固まっていた俺を安心させてくれたのは……。




















―――――シエルの、空色の綺麗な瞳だった。