あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─



『――――たすけて』














あ……。



一瞬でも乃亜が怖い、と思ってしまった自分に後悔する。








乃亜は、助けを求めてた。







殺す、と言っても。



乃亜は、乃亜だ。








『花宮 乃亜』は、ここにしかいない。











そう思った瞬間。



気がついたら、俺は乃亜を抱きしめていた。









「へっ? ちょ、れ、玲夜っ!!」
 




顔を真っ赤にするところ。


照れてるところ。







――――やっぱり、乃亜だ。












「なあ、乃亜」



「なっ、なに?」




「――――本音、ちゃんと打ち明けろよ」



「え? 本音? なにそれ」







意味が分からない、というように笑う乃亜。




いつも、こうやって嘘をついて、大丈夫だ、と仮面をかぶってきたんだろうか。




ずっと、一人で。耐えてきたんだろうか。








「泣きたい時は、泣いたらいい。限界が来たら、言ったらいい」



「っ……」



「『……一人で悩まなくても別にいいじゃん。仲間なら、信頼したらいい』って。俺は、信頼できるような仲間じゃないのか……?」



「それは・・・・・」



「俺は、乃亜の言葉に救われた。だから、今度は俺の番」







俺がそう言うと、乃亜の瞳から涙が溢れた。


それに気が付いて、乃亜は急いで涙をぬぐおうとする。