『――――たすけて』
あ……。
一瞬でも乃亜が怖い、と思ってしまった自分に後悔する。
乃亜は、助けを求めてた。
殺す、と言っても。
乃亜は、乃亜だ。
『花宮 乃亜』は、ここにしかいない。
そう思った瞬間。
気がついたら、俺は乃亜を抱きしめていた。
「へっ? ちょ、れ、玲夜っ!!」
顔を真っ赤にするところ。
照れてるところ。
――――やっぱり、乃亜だ。
「なあ、乃亜」
「なっ、なに?」
「――――本音、ちゃんと打ち明けろよ」
「え? 本音? なにそれ」
意味が分からない、というように笑う乃亜。
いつも、こうやって嘘をついて、大丈夫だ、と仮面をかぶってきたんだろうか。
ずっと、一人で。耐えてきたんだろうか。
「泣きたい時は、泣いたらいい。限界が来たら、言ったらいい」
「っ……」
「『……一人で悩まなくても別にいいじゃん。仲間なら、信頼したらいい』って。俺は、信頼できるような仲間じゃないのか……?」
「それは・・・・・」
「俺は、乃亜の言葉に救われた。だから、今度は俺の番」
俺がそう言うと、乃亜の瞳から涙が溢れた。
それに気が付いて、乃亜は急いで涙をぬぐおうとする。

