あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─



すると、ソファの上で寝ている乃亜がいた。



頬には濡れた涙のあとがあって、泣いたのがよくわかる。







その姿が、小さい子供みたいに見えた。



力を加えたら、崩れて壊れてしまいそうなくらい、脆く。








そっと抱きしめると、乃亜の温かさを感じた。



それはいつもと変わらず、安心する。









――――俺には、本音で言えよ。





一人で抱え込むな……っ。









何を感じて、何を考えているかなんて、超能力者じゃないんだから俺には分からない。



でも、少しでも寄り添ってやることはできるから。







乃亜の存在を確かめるように、もう一度、ぎゅっと抱きしめる。













それにしても、こんなところで寝たら、ダメだろ……。










俺は、乃亜を抱きかかえて、乃亜の部屋へ運んだ。




ってか、乃亜って本当に軽いな。




ちゃんと食べてんのかな……。









部屋に入ると、乃亜の匂いがした。



こんなことを言っている俺が、自分でも気持ち悪いと思うけど。





俺は、本当に乃亜に骨抜きにされているようだ。








ベッドに寝かせてやると、んっ、と声をもらした。



その声が可愛くて、ドキッとする。





やば……可愛すぎるだろ。








名残惜しいと思いながら、乃亜から完全に手を放そうとした。



……が、それはできなかった。









―――乃亜が、俺の服の裾を握ったから。







意識はないみたいだ。完全に寝ているはず。




でも、結構強めの力で握っている。









離れようとすればするほど、強くなる。




これは、離してくれそうにないな。




もう一度離れようとすると、起きてしまったのか、寝ぼけながら俺をみつめた乃亜。









何ていうんだろう。



俺がいることに、驚くのか……?







すこしだけわくわくしながら、予想する。










――――でも、答えは、予想と全く違っていた。