すると、ソファの上で寝ている乃亜がいた。
頬には濡れた涙のあとがあって、泣いたのがよくわかる。
その姿が、小さい子供みたいに見えた。
力を加えたら、崩れて壊れてしまいそうなくらい、脆く。
そっと抱きしめると、乃亜の温かさを感じた。
それはいつもと変わらず、安心する。
――――俺には、本音で言えよ。
一人で抱え込むな……っ。
何を感じて、何を考えているかなんて、超能力者じゃないんだから俺には分からない。
でも、少しでも寄り添ってやることはできるから。
乃亜の存在を確かめるように、もう一度、ぎゅっと抱きしめる。
それにしても、こんなところで寝たら、ダメだろ……。
俺は、乃亜を抱きかかえて、乃亜の部屋へ運んだ。
ってか、乃亜って本当に軽いな。
ちゃんと食べてんのかな……。
部屋に入ると、乃亜の匂いがした。
こんなことを言っている俺が、自分でも気持ち悪いと思うけど。
俺は、本当に乃亜に骨抜きにされているようだ。
ベッドに寝かせてやると、んっ、と声をもらした。
その声が可愛くて、ドキッとする。
やば……可愛すぎるだろ。
名残惜しいと思いながら、乃亜から完全に手を放そうとした。
……が、それはできなかった。
―――乃亜が、俺の服の裾を握ったから。
意識はないみたいだ。完全に寝ているはず。
でも、結構強めの力で握っている。
離れようとすればするほど、強くなる。
これは、離してくれそうにないな。
もう一度離れようとすると、起きてしまったのか、寝ぼけながら俺をみつめた乃亜。
何ていうんだろう。
俺がいることに、驚くのか……?
すこしだけわくわくしながら、予想する。
――――でも、答えは、予想と全く違っていた。

