あたしが転校してきてからもうすぐ2ヶ月、という頃の夜。
あたしはお風呂から上がって、三月と電話をしていた。
玲夜はお風呂に入っているから、話は聞かれないはずだ。
ただ、お風呂から上がるのは早めだから、急がないと。
『やほ、乃亜。白夜はどんな感じ? あと、学校慣れた?』
「慣れたよ、友達もいるし。白夜は―――まあ、普通かな」
『ふうん、そうなんだ」
少しだけ間が空いて、あたしは三月に問いかける。
「三月? どうしたの?」
『いや……乃亜、白夜の弱点、どうなの?』
「んー、まだ。ガードが固いんだよね」
いや、嘘だ。
ほんとは、全員の弱点くらい大体わかってるよ。
陸と空は、お互い。
夏希さんは、琴音ちゃん。
要と玲夜は、白夜のみんなが。
でも、これを言っちゃったら。
すぐに行動に移そうとしちゃうでしょ……?
―――それは、嫌だ。
―――――まだ、白夜のみんなと、一緒に―――。
あたしがそう言うと、三月はすぐに、ううん、と言った。
『嘘だろ』
「え?」
『いくらガードが固くても、乃亜なら。白夜が大嫌いな乃亜なら、何が何でも弱点を探るだろ』
「……!」
『ねえ。まさかとは思うけどさ』
そこまでは普段通りの三月の声色だった。
でも、それは突然だった。

