あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─

「————あたしは、人の個性って大事だと思うから、好きな物とか性格とか、気にしなくていいと思うけどな」




「え」




「だって、ドッペルゲンガーがいたら怖いじゃん? それに、あたしは最初、柊にびっくりしてたよ? 甘いもの好きの童顔で、そんな性格なんだな、って。そんな絵にかいたような子がいるんだなってさ」





「……」









あたしは柊の顔を見ていないから、今どんな表情してるかなんてわかんないけど。



きっと、柊は俯いてるんじゃないかなって思った。








「別に、それを否定してるわけじゃないけど『みんなちがってみんないい』って言うでしょ? だから、あたしは好きだよ」



「……こんなのでいいと思うのかよ」



「いいと思う。あんたのお父さんの言うことが絶対じゃないじゃん。だから、反抗したんでしょ。自分の個性は潰さないであげて」



「お前の言うことは絶対か?」



「ううん、別に好きにしたらいい。それに、あたしの解釈は、柊の考え方と違うかもしれないしね」








あたしがそこまで言って柊を見ると、少しだけ柊の目は赤かった。







「……俺、白夜のやつらに言おうかな、性格のこと。でも、失望されちまうかな……? やっと見つけた居場所も失っちゃうのかな」



「白夜の仲間は、そんなことで失望するような人なの? 白夜のこと大好きな柊なら分かるでしょ?」



「……そう、だな」



「それに、もし失望でもされたら、あたしが殴ってあげる」





ま、もとから殴るつもりだけど。






「はは、お前、玲夜を殴れんのかよ?」



「殴れるし。白夜に打ち明けるなら、あたしが一緒に居てあげる。でも、あたしが嫌いなんだっけ。ならいない方が……」






そこまで言ったとき、柊が言葉を遮った。





「いや、居ろよ。俺にここまで言わせた責任取ってくれねえと困る」



「はあ? でも、無理する必要は……」



「無理とかしてねえし!! 勇気が、欲しいだけ、だし……」




「えー、照れてる? 柊ってツンデレなんだ! 可愛いー!」




耳まで赤くなった柊を見てそう言う。



あはは、と笑うと、拗ねたように柊は言った。






「———可愛いって言うの、やめろよな」



「へ?」



「お前は俺のこと、かっこいいって思っとけよ。それとも、可愛い俺の方が好みなのかよ?」



「どっちもいいと思うよ」



「ったく……調子狂うわ」