あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─


【乃亜 side】






「どうだ? これが理由だよ」




「ふうん。じゃあ、帰ろっか」




「っ、おい! それだけか!?」







それだけもなにも……。






「別に。そうなんだなあ、って思っただけだよ」



「なんとか言えねえのかよお前は……」






ため息をつく柊を見てから、あたしは横を向いた。







「言ったところでどうなるの? 柊ってあたしのこと嫌いでしょ? 嫌いな人に何か言われても嬉しくないかなって」



「せっかく俺が言ってやったんだからちゃんとした返事くらい返せよ」



「んー、なら、柊はあたしに何を求めてるの? 同情? 罵倒? それとも共感?」



「それは……」



「そういう深い話は、あんまり部外者が口出ししない方がいいでしょ。あたしがちゃんと理解できていない状態で何か言っても、響かない。あたしはあなたの気持ちがちゃんと理解できてないから」








あたしが、怒っていたとしても。



怒っていた理由も考えずに、ただ『ごめん』って言われてもむしろ嫌になるだけだ。



相手の心には何にも響かない。









「でも、一つ言うとするなら、だよ?」




「なんだよ……」