あなたに✗✗を捧ぐ。 ─少女は復讐相手に溺愛される─

『はっ、仲間割れか? なら、お前らまとめて殺してやるよ!!』



そう言って、あいつは銃を構えてこちらに撃った。




———パァン!!



大きな銃声が聞こえて、あたしは痛みを覚悟して目を瞑った。



でも、痛みは一向に来なかった。




え……?



あたしがゆっくりと目を開けると、目の前に人がいた。


服は血まみれになっている。



どう、して……。



『おかあ、さんっ……?』



『今すぐ逃げなさい!!』


『でも、お母さんは……!!』


『いいから、早く……!』



で、でもっ……!


そのとき、また腕を掴まれた。



『乃亜!! はやく!!』


『っ……!!』



あたしは、ぼろぼろとこぼれる涙をぬぐって、怜と一緒に走った。


とにかく、遠くまで。



『はははっ!! 逃げるのか!? 弱虫が!! お前らもいつか殺してやるよ!!』



後ろから聞こえる声も聞こえないふりをして、走り続けた。