子供たちの学校の支度も終わり、ちょうどエリックが迎えに来たところだった。
サラは私のデザインした服を今日も着ていた。
「サラ、かわいいわよ。
でも大丈夫?私のせいで友達にひどいことを言われたのでしょう?」
「いいえ、コレット様。その子たちも着てみればわかるのです。
きっと羨ましかったのでしょうね。
私はもっと見せびらかして、服が欲しくなるように話をしてまいります。」
「サラ、私のために無理はしなくてもいいのよ。」
「ここはアリスお嬢様のためにも、引くわけにはいかないのです。」
すっかり気合が入っていたので、なんだか申し訳なくなった。
「私も一緒にいるから、大丈夫よ。
『いいものをより安く』はおじいさまの教えでもあるのよ。
お母様はすごい、ハイマー商会はすごい、と言わしめてやりますから。」
「私は二人には、お友達とは仲良くやってほしいのですけどね。」
「大丈夫ですわ、お母様。
学校の女子の間では『ハイマー商会ごっこ』がはやっているの。
あの制服が大人気なのですよ。」
私はこの話にはさすがに仰天した。
次の瞬間、子どもたちと大笑いをしていた。
「あこがれのハイマー商会になったという訳ね。
是非お友達をご招待しなくてはならないわね。」
「コレット様、ですから私は大丈夫なのですよ。」
「わかったわ。それじゃグランお兄様と相談しなくてはね。
あこがれの『ハイマー商会ツアー』でも企画してもらおうかしら。」
私もカイルも、迎えに来たエリックさえも、大笑いしていた。
子供たちを見送った後、早速この件を話すことにした。
父の執務室では商会の朝のミーティングが行われていた。
「コレット、何をそんなにうれしそうにしているのだ?」
そう言う父も笑顔だった。
サラがメアリーに学校で流行っている「ハイマー商会ごっこ」を話し、アニーから一足先にこの件を聞いていたからだった。
「グラン、いっそのこと子供たちを招待する企画でもやってみるか?
子供は一人では来ないからな、母親や祖父たちと一緒に来るだろう。」
「孫が服をおねだりして、その服が意外と安く、しかもキャンペーン中ならどうでしょうか。
そうなれば財布のひもは緩むでしょうから。」
「グランよ、客はより幸せな人生を夢見ているものだ。
我々商人はただ商品を売るのではなく、お客を満足させて、人生を豊かにする手伝いをするのだ。
利益も大事だが、何のために、誰に何を売るかだ。」
「そうね、グラン。
ありがたいことにその子たちはこの服を着た自分を夢見ているのよ。
それは家族もそうね。
可愛らしい服を着た娘を見ることは、家族にとっても幸せだわ。」
「わかりました。
店の者と検討してみます。
企画が出来上がったらぜひおばさまのご意見もお伺いします。」
私の服を巡って子どもたちまで参加して、企画を立てるなんて思いもしなかった。
私はその熱意に応えなければならない。
「ええグラン、よろしくね。
アニーにも相談するといいわ。」
こうして意外なきっかけからコレット・コレクションの販売イベントが行われることとなった。



