ナイショの妖精さん1

「あ、あの。あたし、中条くんと同じクラスの、和泉綾っていいます」

 アホ毛をゆらして、あわてて、おじぎ。

 書斎のドアの前のおねえさんも、軽く頭をさげてくれたけど、すぐに眉毛をまた、キッとつりあげちゃった。

 どうしよう。怒ってる!

 きっと、あたしたちが勝手に、あかずの間に入ったから。

 中条のおねえさんかな?

 カワイイ感じに見えるのは、有香ちゃんと身長が同じくらいで、目が大きいから。ゆるいウエーブのかかったミディアムヘアの耳横を、キラキラのピンでとめている。

「綾ちゃんの言うとおりよ、ヨウちゃん」

 ……え? ヨウちゃん……?

 チラッと中条をふり返ったら、中条ののどぼとけがゴクッとさがった。

「……かあさん」

 え、ええっ!?  お母さんっ !?

 思い出したっ!

 授業参観のとき、中条のお母さんは、若くてカワイイって有名だったんだ。

「お母さんも、ヨウちゃんには、がっかりしたわ。いつかヨウちゃんが、お父さんのことに興味を向けてくれるかもしれない。自分からこの部屋の鍵を開けてくれるんじゃないかって、ずっと期待して待ってたのに。
開けてはくれたけど、ヨウちゃんが興味を持つものは、この部屋にはなかったのね」