ナイショの妖精さん1

 石膏みたいにカッチカチのほお。
 しらっと冷めた目。

 なんで中条っていつも、こうなんだろう。
 あと、もうちょっとで、キラキラの世界に手が届きそうなのに……。

「あのさ。中条って、なにかでワクワクしたことある? アレ知りたいなとか、コレ知りたいなとか、思ったことある?」

 のどから出たあたしの声は、ザラッザラに低かった。

「……はぁ?」

 中条の片眉が、ピクってあがる。

 あ! 今、ゼッタイ「アホっ子のくせに」って思った!

 だけど、それでも。

 郷土資料館の先生の言葉を丸暗記できる頭は、持っているくせに。「どうでもいい」って切り捨てちゃうヤツなんかより、マシだもん!

「中条ってさ。リンちゃんたちのことだって、はじめっから、『ホントの自分を見てない』って決めてかかって、なんにも知ろうとしてないじゃん。そんな中条のこと、リンちゃんたちだって、ちゃんと知ろうとするはずないでしょ!
英語だってさ、わかんなかったら調べればいい。ドイツ語とかフランス語とか、見たこともないような文字じゃないんだよ? あたしだって、アップルとかピーチくらいならわかるもん!
貸して、この日記っ!!  学校の辞書つかって、訳すから!」

「お……おまえな。アップル、ピーチレベルでどうにかなるわけ……」

 中条の声なんか無視して、日記を胸に抱きとめる。

 そのまま書斎のドアのほうに走り出そうとして、ハッと顔をあげた。

 開きっぱなしのドアの前に、知らない女の人が立っていた――。