ナイショの妖精さん1

 あたしは、本だなの前の、重たい木のつくえで目をとめた。

 ドラマに出てくる社長のディスクみたいに大きいんだけど、その上に、金縁の写真立てが置かれている。

 写真のおじさんの顔、知ってる!

 琥珀色の目。茶色い背広、茶色い中折れ帽子。えりもとにはループタイ。

 おじさんは、四歳くらいの男の子の肩を抱いている。サラッサラの琥珀色の髪。琥珀色のくりっとあどけない目。ピンクのふわふわほっぺた。

 て……天使……?

「それ、昔のオレととうさん」

 うげげ。

「ここは、とうさんが生前つかってた書斎。かあさんからきいた話だと、とうさんはイギリス人で、もともと向こうで、文化人類学の研究をする学者だったらしい」

 中条は本だなから、一冊の本を引き抜いた。図鑑並みの大判。中条はランダムにページを開いて、手をとめる。

「――で。専門がコレ」

 つくえの上にドンとのせられた本のページを見て、あたしは息を飲んだ。

 お花の服を着て、背中にトンボの羽をはやした妖精の画集だった。