池みたいに広い模造紙を、マジックのきたない字と写真とヘンな地図でうめつくして。
図書室を出たときには、太陽がオレンジ色にかわってた。
「じゃあね~、中条くぅ~ん 」
ツインテールをゆらして、るんるん帰っていくリンちゃん。
「ばいばいき~ん」
誠もかかとをつぶした運動ぐつで、ペタペタ道をまがっていく。
人も車も通らない住宅街。低くつらなる一戸建ての屋根の向こうに、浅山のなだらかな山並みがのぞいている。
反対側の住宅街が消えて、堤防にかわった。
堤防の向こうは、色紙を空の下に貼りつけたみたいに、青一色。
きょうは空が澄んでいるから、海の色も濃く見える。
「……おい」
あたしの前を行く黒いTシャツが、ヌリカベみたいに立ちはだかった。
「おまえの家は、逆方向だろ? なんでオレについてくんだよっ!」
中条の言うとおり。
あたしの家は、学校の向こう側。ドラッグストアとか携帯ショップが建ちならぶ大通りから、道を一本入ったところ。
中条の家は、この道をずっと歩いた高台にある。
まわりにも何軒か家があるんだけど。ママからきいた話だと、急な坂をのぼっていかなきゃならない場所だから、引っ越してきても、生活がきつくなって、出て行っちゃう人も多いんだとか。
それでなのかは知らないけど、うちの学年で、家がこっちにあるのは、中条だけ。
「……あのままでいいの?」
あたしは口をとがらせて、相手をにらみ返した。
「なにが?」
「あの妖精のおねえさん、病気だった。あの年下の子、助けてほしくて、中条に近づいてきたみたいだった!」
図書室を出たときには、太陽がオレンジ色にかわってた。
「じゃあね~、中条くぅ~ん 」
ツインテールをゆらして、るんるん帰っていくリンちゃん。
「ばいばいき~ん」
誠もかかとをつぶした運動ぐつで、ペタペタ道をまがっていく。
人も車も通らない住宅街。低くつらなる一戸建ての屋根の向こうに、浅山のなだらかな山並みがのぞいている。
反対側の住宅街が消えて、堤防にかわった。
堤防の向こうは、色紙を空の下に貼りつけたみたいに、青一色。
きょうは空が澄んでいるから、海の色も濃く見える。
「……おい」
あたしの前を行く黒いTシャツが、ヌリカベみたいに立ちはだかった。
「おまえの家は、逆方向だろ? なんでオレについてくんだよっ!」
中条の言うとおり。
あたしの家は、学校の向こう側。ドラッグストアとか携帯ショップが建ちならぶ大通りから、道を一本入ったところ。
中条の家は、この道をずっと歩いた高台にある。
まわりにも何軒か家があるんだけど。ママからきいた話だと、急な坂をのぼっていかなきゃならない場所だから、引っ越してきても、生活がきつくなって、出て行っちゃう人も多いんだとか。
それでなのかは知らないけど、うちの学年で、家がこっちにあるのは、中条だけ。
「……あのままでいいの?」
あたしは口をとがらせて、相手をにらみ返した。
「なにが?」
「あの妖精のおねえさん、病気だった。あの年下の子、助けてほしくて、中条に近づいてきたみたいだった!」
