ナイショの妖精さん1

 バレリーナの女の子が、ふわふわパーマの少女のかたわらに、そっと赤紫色の花を置いた。少女のまわりには、ほかにもたくさん、赤紫色の花が置かれてる。

 キレイなんだけど、棺桶みたい……。

「やっぱ、なんもいないな」

「……え?」

 ふり返ったら、あたしの後ろから、中条がつまらなそうに、中をのぞき込んでいた。

「ったく、時間ソンした。ほら、さっさと集合場所もどるぞ」

「えええっ!? 」

 信じらんない! なんで中条には見えないのっ !?
 お花畑では、ちゃんと見えてたのにっ!

「ちょ、ちょっと、中条っ!! 」

 とっさに、相手の左腕をつかんだら。

「う、うわっ!? 」

 筋張った太い左腕が、ビクッと痙攣した。

 ……え?

「な、なんだっ !? おまえ、急にさわるなっ!」

 ……あれ……?

 あたしに怒鳴りちらしてるあご、ガクガク震えてる。

 これって……見えてる……よね?

「ひ、ひ、ヒドイ、中条っ! なんで、見えてないふりするのっ !?」

「なにをだよっ !? 見えねぇよっ!! 」


 瞬間。

 部屋の中から、パッと銀色の羽が飛び出してきた。

 あたしの肩を越えて、バレリーナの女の子が中条に向かっていく。

「!」

「昔どこかで見たような感じ」がズンと、あたしの胸をついた。