異能少女は心霊ホテルから脱出したい

すぐ近くに手の持ち主がいるのだ。でも私は手の主の姿を確かめることなく、持ち物をかき集めるようにして慌てて逃げ出した。

強い恐怖を覚えた場所から距離を取って息を戻す。

そして今いる場所を確かめるために、勇気を振り絞ってあたりを見回した。

建物の方は比較的外壁が残っていて、外を見ると草の背も低くて向こうが見える。建物の少ない田舎で景色はがらんと開いていて、街灯があっても照らすには足りず、暗闇が広がっていた。

しきりに車の走る音がして、道路側のところに来たのがわかった。

そうして状況を確かめた私は無心で立っていたけど、自分以外の存在の気配は感じなかった。

ひとまず逃げ切れたんだ。