異能少女は心霊ホテルから脱出したい

そこで、私は家から持ってきていた木の棒を地面に立てた。私たちの一族は科学では説明のつかない特殊な能力を持っていて、私はこの心行棒(しんぎょうぼう)を倒して進むべき道を見つけるという能力がある。

肘から手首くらいの長さの心行棒から手を離す。
心行棒はそのまま前方に向かって倒れた。

心行棒に従ってまっすぐ進むと、後ろから人らしき声がした。

振り返らずに進み、建物の角を曲がると、何かが近くを通り過ぎた。

入った時は静かだったのに正体不明の声が聞こえてきたし、さっきは私の近くをかすめるような気配がした。

危険を察知してその場にしゃがんで棒を倒す。
倒れた棒は右前方を指した。

私が右斜めに歩いていくと、さっきまで私が歩いていた方向に物が落ちてきて、バタン、と重めの音を立てる。

よく見ていないけど、当たっても痛くないような軽い物ではない。危機一髪だった。

私が安心して少し建物の方を見ると、反対の方からガサガサと草を揺らす音がする。

そこから離れるように建物の方に寄ると、足元を何かがまとわりつく。

"それ"から離すように足をバタバタと交互に上げると、足をもつれさせ、頭が回らないまま逃げるように建物の方に寄っていく。

そしてバタンと前に倒れてしまった。
埃っぽくて硬い地面に手をついて、膝はじんじんと痛む。

すぐさま腕を立ち上げて顔を上げると、外壁が崩壊した部屋で、真正面に姿見があって、半身を起こした自分の姿が映る。

落とした懐中電灯が白く照らす自分の顔に、被さるような手の影が落ちていた。