二次関数はやっぱり難しくて、授業時間を10分残して私の頭はオーバーヒートしていた。隣の夕崎くんも似たようなものだ。
それにしても暑い。頭だけじゃなくて、顔も、腕も、熱を感じる。あれ、もしかして、エアコンが故障…?
「先生ー。これ、エアコン壊れてますよ」
ちょうど夕崎くんも気づいたようだ。
「やっぱり!そうだよねぇ。うんうん、暑いなって思ってたんだよ」
ずっと立って話していた先生は余計に感じていたらしく、ものすごく同意している。
「あと10分もないから、もう終わっちゃおう。」
「マジ!?サンキュー矢部ちゃん、俺帰るわ!」
急に元気になった夕崎は、ウキウキで荷物をまとめ出す。
矢部先生は胸ポケットから鍵を取り出すと、鍵についたリングを指にかけてクルクル回しながらドアの方へ近づき、軽快な動作でドアを開けた。

