201教室が近づくと、中の電気がついていることに気がついた。靴箱に誰かの靴が入っていたから、私と同じ補習を受ける人だろう。

「優しい人、できれば女の子がいいなあ」

 そう呟いて教室をのぞく。
 
 が、そこにいた人物を見て驚きのあまり後ずさった。


 私の予想はよくはずれる。最高の一日だと思ったら最悪な一日になるし、優しい女子を願えば男子がいる。

 それならば、「きっと体育館へ向かう」「今日はもう会うこともない」なんて予想は、1ミリも当たるわけが無い。


 201教室に座っていたのは、正門で振り切ったはずの夕崎陸だった。