僕らのあの海

SIDE …


《基地》にみんなで集まる。
今日は、なにをするのだろうか。

「今日はなにするのー?」

いつもみたいに七海が質問をする。
そして、佐藤(せんせい)が答えて。
それを私たちがやる。
そんな事をずっと繰り返してきた。
それが悪いとは思わない。
けれど、これで本当にやりたかった事は出来るのだろうか。でも、いいか。これも楽しい。
結局、楽しければなんでもいいか。

「今日は、雨龍石を探しに行ってみようか」

ついに佐藤(せんせい)が言った。

「やったーっ!!早速行こうよ!」

佐藤(せんせい)がそう言った瞬間に七海が立ち上がって扉に向かって走る。
それを佐藤(せんせい)が止めた。

「行く場所、知らないでしょ?」

そう佐藤(せんせい)が言うと、七海は苦そうな顔をして椅子に戻ってくる。
それを夏目がくすりと笑うと七海は夏目の脇腹を突いた。すると、夏目がびくりと体を捻らせて椅子から落ちそうになる。
それを見て次は七海が笑った。
そんな光景を見ながら佐藤(せんせい)と私は笑う。

「まずは、元お寺があった場所に行こう」
「え…、でもあそこ崩れてるじゃん…」
「うん。でも、行くだけ行ってみよう」

七海は不安気な顔をした。

「…、君たちの覚悟はそれだけだったの?」

そう言われて、ハッとした。
確かにここで日和ってるようじゃここまで出来てないだろう。

「行こう。七海、夏目」

私は七海と夏目の手を引っ張って扉の外へと出た。それに続いて佐藤(せんせい)も来る。

三人で並んで道を歩いた。
その後ろを佐藤(せんせい)が歩く。
まだまだ夏は続いていく。
それをこの暑さが証明していた。