「七海、陽紡、佐藤先生。ありがとうございました」

船乗り場のところで夏目との別れの時。
最後、夏目は言ってくれた。
家庭内環境で嫌気が差してこの島に来たという事を。

「僕は、もう大丈夫。
また、ここに戻ってくるよ。大人になって」
「うん。私、ずっとここで待ってる!」

七海が夏目の肩を叩く。
夏目は痛そうな反応をしたけれど、顔は笑っている。楽しそうだ。

船が出る直前、去り行く夏目の背に向かって手を振った。



これから私も、海に帰るとしようかな。
みんなとの“真実”を抱いて。



【完】