ポケットから取り出された宝石。
宝石は、バラバラに砕かれている。
「元通りにしたい…」
いつの間にかそう呟いていた。
頭の中に思いついた言葉をそのまま口に出す。
「我、水龍の御子なり。海の精霊よ、大地の精霊よ、我に力を与えたまえ。この宝玉を修めたまえ」
すると、突然手の中にあった宝石が眩い光を放った。
光が収まった後、手のひらを見てみると手の中には綺麗な雫型の宝石があった。
そして、島に綺麗な雨が降り始めた。
「これで…、全部…じゃないけど、元通りだよね?」
震える声でそう言った。
すると、父は少しだけ微笑んで海の中へと帰ってしまった。


