通話が切れ、静かな電子音が消える。 狭い部屋に、ようやく自分の吐息だけが戻ってきた。 手にしたスマホを見下ろしながら、深く息をつく。 ほんの数分の会話なのに、胸の奥の重石が少しだけ軽くなっていた。 「……絶対に、失いたくない」 低く漏らした言葉は、誰に聞かせるでもない自分自身への誓いだった。 守ると決めた。だがそれは綺麗事ではなく、執着に近いものだと自覚している。 それでも――彼女が笑ってくれるなら。 この先どんな無理をしてでも、俺は抗い続ける。