しばしの沈黙のあと、彼は短く言った。 「……もう寝ろ」 胸が詰まり、私は小さく首を振った。 「……ごめんなさい。今日は帰らせてください」 日向さんの目がわずかに揺れる。 「……そうか。なら、送ってく」 「いらないです」 思わず語気が強くなった。 「……何時だと思ってるんだ」 低い声に、思わず肩が震える。 「いいです。一人で帰れますから」 互いの視線が絡み、言葉にならない思いがぶつかり合う。 その空気に耐えきれず、私はコートを掴んで立ち上がった。