牧師の息子のエリート医師は、歳下医学生に理性が効かないほど夢中です。(旧題:桜吹雪が舞う夜に)



冬の夜、温かなリビング。
彼の隣に座りながら、私は湯気の立つカップを手にする。
日向さんはいつものように穏やかな笑顔を向けてくれる。
その笑顔だけで、胸が満たされていくのを感じる。

……けれど。

(この人の心の一番柔らかい部分に、私は触れられていない)

どんなに一緒に過ごしても、どんなに手を繋いでも――
そこには壁があるような気がした。
笑顔で隠されてしまう奥の奥に、私の知らない痛みが眠っている。

それを知らないままでいいのか。
それとも、知りたいと願うことは、わがままなのか。

私はカップを握る手に力を込めながら、答えの出ない問いを胸にしまい込んだ。