桜吹雪が舞う夜に



正直、こんな行為をするまでは――
ただ男性の欲望を満たすだけのものなんじゃないかと思っていた。
痛くて、苦しくて、女の子は我慢して、相手を満足させるだけ。
……ずっとそう信じ込んでいた。

でも、違った。

日向さんはいつも優しくて、私の嫌がることは一切しない。
ゆっくりと、私の呼吸に合わせるように確かめてくれる。
その度に安心が胸に広がって、怖さよりも温かさが勝っていく。

――あぁ、これは「愛される」ってことなんだ。

そう思った瞬間、ただ受け入れるだけじゃなく、私も応えたいと強く思った。
彼の喜ぶ顔が見たい。
彼を満たしてあげたい。
そうして初めて、本当の意味で“二人で分かち合う”ものになるんだと分かった。

(……私も、日向さんを気持ちよくしてあげたい)

その気持ちが胸に宿ってから、触れる指先に勇気が出るようになった。