桜は瞳を揺らしながら続けた。
「……私、日向さんに守られるだけじゃ、嫌なんです」
その言葉が、真正面から胸に突き刺さった。
――やっぱり、そうか。
俺が“守る”ことにこだわっていたせいで、彼女は苦しんでいた。
(守ることは愛の形だと信じてきた。
でも、彼女にとっては縛りでしかなかったのかもしれない)
喉が乾いて、言葉がなかなか出てこない。
ようやく絞り出すように声を落とした。
「……ごめん」
桜の目が驚きで見開かれる。
「俺は、お前を守ることばかり考えて……信じてなかった」
自分で言いながら、胸が痛んだ。
水瀬に突きつけられた“信じてない”という言葉。
それを桜の前で認めるしかなかった。
「水瀬に言われた、『信じてないんじゃない?』って……。
あの言葉、ずっと頭から離れなかった」
桜はじっと俺の瞳を真剣な眼差しで見つめていた。
「俺にとって君は、何より大切な存在なんだ。
絶対に失いたくない。
君がどこかで辛い思いをしてるなら、真っ先に助けたい。
……いや、そもそも辛い思いなんて一切させたくないんだ」
苦しいながらも出した声は、必死で、掠れていた。
「でも……それじゃ、確かに君を縛ってるだけだ。
俺が“守る”って言葉にしがみついて、君の可能性を知らずのうちに潰してる。
それに気づいた。……良くないよな、こんなの」
桜は目を潤ませ、首を振った。
「……そんなふうに思ってくれてたんですね」
俺はは迷いなく頷いた。
「ごめん。俺は君を、ちゃんと信じたい。だから……教えてくれ。桜、お前はどうしたい?」



