けれど、同時に胸の奥で別の想いも芽生えていた。
(……追いつきたい)
そう、はっきりと。
弱さを言い訳にしたくない。
「学生だから仕方ない」なんて、自分で自分を納得させたくない。
だって私が惹かれたのは、ただ格好いいからじゃない。
理想を背負いながら、それでも迷わず人を救おうとする、その姿に心を動かされたから。
(いつか、同じ景色を見たい。隣に立ちたい)
日向さんがホワイトボードに新しい図を描き、学生たちの視線が一斉に集まる。
その横顔を見つめながら、私は胸の奥で小さく拳を握った。
ーーどんなに遠くても。
必ず、あの背中に追いついてみせる。


