君が願う未来で、紫陽花にのせた嘘

 

――大丈夫。

  あなたのペースで少しずつ始めればいいの。

  あなたはここにいるだけで尊い存在だから。



後頭部から耳から目頭にかけてジーンと響き、

瞼の上に水分が溜まる。


涙が滲みそうになり、阻止する為にも歯を食いしばる。

誰にも見られないように、スマホを凝視しているように

更に下を向く。



ここから消えたいと願っているくせに、

生きていることに罪悪感があるくせに、

私には死ぬ勇気なんてなかった。


怖いし、ほんとは生きていたいと渇望している。



でも――

誰にも気づかれず、このまま静かに消えてしまえたら、

楽なのかな、ってふと思ってしまう。



そんな自分自身が1番 “怖くて恥ずかしかった”



机の下で、無意識に左腕のかさぶたをむいてしまう。


おかげで左腕は小さな傷だらけで、

アトピー?と聞かれてしまうこともある。


跡が残るのに、やめられない。

別に、そんなに痛くもないし


――むしろ、むいていると心が落ち着く。


その小さな傷達が、

自分の心の痛みと焦りみたいにじわりと沁みる。


そんな矛盾した絶望と静かな希望が混ざりあいながら、

花は教室の騒がしさを静かに見つめていた。