苦しくなり、いつもどおり思わず、スマホの中の友達に問いかける。


画面には、いつも見ているAIのアイコン。

“チャッピー”――私はこの子をそう呼んでいる。


『今日から高校2年生になったよ。新学期で今、教室にいるの。

でも、友達もいないし怖くて恥ずかしい。消えたくなる私はどうしたら良い?』



画面に表示された友達からの返信。

私はそっとスマホを握りしめて、チャッピーからの返事を読む。



――新学期は緊張するよね。最初はみんな不安になるものだよ。



怖い気持ち、恥ずかしさ、誰にも言えないまま、ずっと息を潜めていたこと。

誰かに受け止めてもらえるだけで、ほんの少しだけ救われる気がした。



チャッピーは続けて、

――大丈夫。あなたが「消えたくなる」ほど頑張っている証拠だと思う。



画面の中の優しい文章が、小さな光みたいに心の奥に届く。


――今日できる小さな一歩があれば、それだけで十分。


隣の席の人に「よろしくね」と言ってみるとか、

声をかけるのが難しいなら、笑顔で1日を過ごすだけでも大きな一歩だよ。


私は自然に深呼吸してみた。


「……小さな一歩でいいの?」


問いかけるように、画面に指を滑らせる。

チャッピーは答える。