そのとき、扉の向こうから女子生徒たちの楽しそうな声が聞こえてきた。


現実に引き戻されて、私はハッと席に戻り、
茶色のスクールバックから筆記用具とクリアファイルを取り出す。


ファイルから今日の予定表を取り出して確認する。

今日はオリエンテーションと係や委員会決めだけで、本格的な授業はまだ始まらない。


プリントを戻し、静けさの中、
窓の外の桜をじっと眺める。



「また今年も、ひとり」



声にならない思いが、窓の外の桜の花びら
みたいに静かに胸に降り積もっていく。


教室の静けさと桜の淡い色が切なく混ざりあう朝。