「あっ、席順表あったんだ」


私は黒板の方に、自分の席を確認しにいく。



___名無 花

___なむ はな



自分の名前を見るたび、どうしてこんなふうに胸がざわつくのか分からない。


この名前が、私の孤独を象徴しているみたいで、書き起こされた自分の名前を見るたびに、悲しくなる。

できるだけ見ないように、薄目で席番号だけを確かめる。


そのとき、席順表に違和感を覚えた。



「なんでだろ?1人多い……」

1年生からメンバーは変わらないはずなのに、今年は32名になっている。


不思議に思い、じっと名簿を見つめる。

私の席から少し離れたところに、見慣れない名前を見つけた。



___日色 陽一


「ひいろ よういち……転校生かな?」


知らない名前の響きを何度も心の中で繰り返す。

ほんの少しだけ、胸の奥がざわつく。