はじめての2年生教室。


ドアをそっと引いて、しんと静まり返った空間に足を踏み入れる。


時計は7時40分。


教室には朝の光が差し込み、埃なのか塵なのかキラキラと舞っていた。


廊下の先には、まだ人影もない。

窓の外では、薄いピンク色の桜が風に揺れて、はらはらと花びらが舞い落ちている。



「私の席、どこかな……」



教室の中ほどで、しばらく立ち尽くしてしまう。


出席番号を頭の中で思い出しながら、順番に並ぶ机をたどる。



去年と同じ番号。窓際でもなく、前でもなく、
中途半端な場所。

そっと席に腰を下ろすと、教室の静けさが
身体に沁みてくる。



新しい季節に、誰よりも早く教室に
足を踏み入れたはずなのに、

この空間に自分だけしかいない現実が、
なぜか心に冷たい影を落とした。


ふと、黒板に貼られた

『2年A組 席順表』 が目に入る。