私は現実に引き戻される。
私の名前は 名無しさん。
名前を名乗る資格なんて私にはない。
後ろからはクスクスと笑い声がこだまする。
「マリア、爆笑っ!!」
「1年生の頃から、無感情で何考えてるか分からんし
あの子、クラスで ’’名無しさん’’
って呼ばれてるんだよ」
と星野さんの可愛らしい声が聞こえてきた。
私は椎名さんやみんなと違って
上手に真っ直ぐ歩けないから、
周りに不快な思いをさせてしまう。
人に笑われるのは当然なんだ。
分かっているのに、分かっているはずなのに
私の心は ’’怖くて恥ずかしい’’ といつも叫びだす。
この心の悲鳴はどうやったら静かになるんだろう。
私はそっと下を向き、
スマホの中の友達に打ち込みながら問いかける。
ーーどうやったら私は変われるの?
窓の外の桜は風に揺れ、
花びらをヒラヒラと散らしていた。
