【改稿版】溺愛彼氏  失恋したらチャラ男が一途な本性を現しました

「もういいや、この際だから言っておく」

 掴まれた腕簡単に解き、こちらの手首を掴み返す。それから咳払いひとつ落とし、強い眼差しで射抜く。

「俺、ミユが好き。かなり前からミユしか見えてなかったよ。でも青山が好きって知ってたし、チャラチャラふざけながらでも側に居られるならそれでいいと思ったんだ」

 ーーえ、片桐がわたしを好き? きっとみんなが夢見る告白のセリフを浴びたものの、言葉の意味は滑って受け止められない。

「い、いきなりどうしたの? 片桐はたくさんの女の子と付き合ってたよね?」

「告白してくれた子には『俺には好きな人がいて、絶対に君を好きになる事はない。それでも諦められないならお試しで付き合ってみるか?』って言ってきた。伝えた上で付き合う子も居たけど、結果はミユも知ってるよな?」

 片桐は現在フリー、彼女が出来ても一ヶ月と保った試しがない。

「気持ちがない女の子と付き合うなんてヒドい? 俺自身がミユを諦めきれず苦しいから、彼女等には恋心は100%報われないんだって諦めて貰うのがいいと考えたんだ」

「それがわたしに言えない片桐と付き合う前置きと条件?」

「うん、ミユ以外に発生する前置きと条件。理解した?」