【改稿版】溺愛彼氏  失恋したらチャラ男が一途な本性を現しました

 片桐の主張にわざとそっぽを向く。

「潔いと思う」

「え?」

「ミユの不器用な性格、俺は嫌いじゃない。青山に一ヶ月付き合おうって持ち掛けて、きっかり一ヶ月後に振られるなんて正々堂々過ぎる。黙ってやり過ごせれば青山の彼女のまま居られたのにさ」

 クククッと笑いを堪える片桐。

「そうやって馬鹿にしたらいい」

「あのな、バカ正直とは言ったけどバカにはしてないだろうが!」

 珍しく怒った声音へ顔を向ける。視線がぶつかり、片桐は弾かれたようにわたしから距離を取った。

「だから、その、俺はだな、えっと、バカにはしてなくて」

 すると片桐の話し方は打って代わり、滑らかさを失う。モゴモゴ言い淀む。

「はっきり言って?」

「それは……まぁ、アレだ! マンゴープリン食べようぜ。イライラすると甘い物が欲しくなるからな、うん、そうしよう」

 言及を避けて店内へ逃げ込もうとする腕を掴んだ。スキンシップが多い彼に自分から触れるのは新鮮で、こんなに筋肉がついていたのかと驚く。

「青山君の彼女でいれば良かった? そう言いたい?」