【改稿版】溺愛彼氏  失恋したらチャラ男が一途な本性を現しました

「……心配いらないよ、俺がミユを仲間外れにするとか有り得ない」

 やや含みのある間を置き、お手をどうぞと言葉を添える。わたしが素直に手を取って立ち上がればいつもの片桐だった。

「ところでマンゴープリン、カップル割り使ってもいい? 給料日前で苦しくて」

 またもや趣味関連の出費があったんだろうか。片桐はバイクに限らず、欲しい物は必ず手に入れたいコレクター気質だ。

「カップル割り使わなくても、わたしが奢るよ」

「えー、カップル割り使えば良くない? ソフトドリンクも付いてくるんだぜ?」

「ならソフトドリンクも奢ってあげる。カップルじゃないのに特典をズルして利用しちゃ駄目ーーって今度は何?」

 さっきまでの悪い空気を流して会話しているのに。片桐は不満気な視線を寄越す。

「ミユは真面目だなぁー。んなの適当に誤魔化せばどうにでもなるのに。律儀というかバカ正直というか」

「融通がきかない頑固者とでも言いたいんでしょ?」

「だって、それがミユじゃん」

「違うよ!」

「違わない。ミユはいつも真っ直ぐだ」