ツバキくんは、乙女で最強〜この恋は甘くて危険〜

られているが、本人としてはただ真顔なだけだ。

一度キレれば喧嘩無敗という過去も、噂をより強固なものにしていた。

だけど今の彼の表情は――限りなく優しい。

「......このラム酒の香り、ちょっと大人っぽいな。ほのか、こういうの好きかな......って、はっ?」

思わず自分の中の妄想に気づき、慌てて頭を振る。

「ちげーし! 誰のためでもない、これは俺の趣味だ! 俺の......至福の時間......つ」

深く息を吐きながら、ホイップクリームを絞り始めたそのときーー

「......えっ…......ツバキくん?」

静かな空間を破るように、ドアの隙間から聞こえた声。

「――っ!」



ビクッと肩を跳ねさせて振り向く。