エナはマーメイドの仕立屋さん~はじめてのお仕事はプリンセスのドレス~

「エナ!」

 お披露目パーティーが終わり、ナナは一目散にエナのもとに泳いできてくれました。
 黒服の人魚たちは少し離れたところにいますが、前ほどナナを見張っているわけではなさそうです。

「ナナ!」

 エナはナナの両手を取ってくるりとまわりました。
 レクシーも一緒です。

「ナナ、すごくいいスピーチだったよ。自信に満ちたかっこいいスピーチだった」
「ありがとう。エナのおかげよ。ドレスからも勇気をもらったけど、エナからも勇気をもらった。エナの顔を見たら、大丈夫って思えたの」

 ナナが見せてくれたのは出会ってから一番の笑顔でした。
 エナの心があたたかくなります。
 2人は顔を見合わせました。

「エナ、わたしたち、ずっと友達ね」
「うん、約束」

 エナとナナは仲良く指切りをしました。

「今度は一緒に遊びましょ」
「うん、ぜったいね」

 こうして、エナはナナとバイバイをしました。
 今回のお洋服つくりは大成功でした。

(また誰かのためにお洋服をつくりたいな……)

 エナは立派な尾びれを揺らして地上に戻りながら、あたたかな胸でそう考えました。