ああ、、駄目だ上手く声が出ない。

なんでなんだろう、、ぎゅっと胸のあたりの服の裾を掴む。

皺ができるだけで、私の心から不安が消えることはなかった。

(よし!!いける今だ)

タイミングを見計らって、席をたった二人組の女子生徒に私は背後からいそいそと近づいて行った。

手に握られているのは、母がつくってくれた手作りの弁当がはいった袋。

それを前に持つ形で、袋の上から顔をだし、あのっと声がでた。

談笑していた声がピタリと止み、ついでに足も止まった、振り返ったその姿は懐かしい私の過去の友人の姿だった。

「、、、何?」

怪訝な表情で一切の警戒を緩ることもなく、腕を組んだ威圧感が私を委縮させる。

行け、、行くんだ私!!!心の中の自分がそう言って肩をバチンと叩く。

「あのさ!!一緒にお弁当、、」


「あのさあ」

だがその勇気も間に入ってきた、冷たい声音がピシャリとその場を凍らせるだけだ。

まずい、、油に水を注いでしまった時には既に遅かった。

ゆっくりと動く口の動きに次第に私の鼓動を早まらせた。

「自分の立場分かってんの??」

「あ、、」

「散々迷惑かけておいて、、こっちのグループに入れると思わないでね」



「先に裏切ったのはそっちなんだから、、」



そう言って二人は振り返る事もなく背を向け、その場を後にした。

気付けば私一人が教室に取り残される形になっていた。





「はあああ、、今日も駄目だったかー」

私は階段を上がり、いつもの昼飯を一人食べる屋上に向かっていた。

私葛西空は、高校一年生になり暫くはあの二人組の友達になりそれなりに青春を謳歌していた。

でも一ヶ月くらい前にいざこざがあり、私はあの二人からハブられるようになってしまった。

今でも寝るときにその事が、頭をフラッシュバックしてしまう。

「って考えてたら」

私は薄暗い階段を上がり気づけば屋上に続く扉の前まで来ていた、ゆっくりと重い足取りでそのドアノブを掴み、開けた。

風が吹き髪が少し揺れる、でもどこか変だ。

土臭いようなそんな匂い、そしてどこか生暖かい風だ、見ればポツポツと地面に雨粒が落ちてきていた。

「、、、、最悪だああああ」

私は頭を抱えた、右手に握られたお弁当箱を見て肩を落とし諦めた様子で、階段に座り食べるかと引き返そうとした瞬間だ。

バサ

横から白い何かが落下した。

そちらの方に首を向ければ、地面になにか落ちていた、羽毛のような羽が背中から生えており、白にちかい神秘的な肌が肩までしかない服から見え綺麗だ。

「誰??」