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桃ちゃんセンセは相変わらず、先生ぶっていた。
俺がセンセと呼ぶからかもしれないが、昔の訳詞を暗唱してという頼みにもしぶしぶながら聞いてくれる。
「We are all different, and we are all good. これでいい?」
うん、と頷いた俺は、少しでも話を引き伸ばしたくて、桃ちゃんセンセの訳にアレコレと言い募った。最初は憮然としていた桃ちゃんセンセも、俺が支えにしていた、というと、何ともいえない顔をして返事をする。
「はぁ……。ありがとう、でいいのかな?」
その言い方があまりにも桃ちゃんセンセらしくて笑った俺に、彼女は話を終えたとばかりにコーヒーを飲み干した。
「そろそろ……時間だから」
立ち上がった桃ちゃんセンセの手を咄嗟に掴んだのは、まだ話を終えたくなかったから。それでも会わない年月が経ちすぎていた。
それぞれの近況を報告し終えた今、話題は思い浮かばない。
困った末、出てきたのはあまりにもダサい言葉だった。

