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俺にとって第二志望の大学はbetterな選択肢だった。だが、通っている内にそれがbestになった。
中学、高校にも存在はしていたが、本当の意味での天才が比べ物にならない程多くいたし、逆に俺のような第一志望を諦めて入学した学生も、努力を積み重ねている人間も沢山いた。
俺にとってbestだったのは、この大学の方が第一志望にしていた大学と比べて早く専攻している分野の勉強に携われたこと。そして理系特化の大学だから教授陣の質も高かった。
その分、劣等感に苛まれることもあったが、その度に桃ちゃんセンセが「We are all different, and we are all good.」と諳んじている姿を思い出し、specialでもwonderfulでもなく、goodでもいいんだと自身を落ち着かせていた。
その内、俺にも彼女が出来た。長くは続かなかったけれど、それなりに恋愛をして、無事に目指していた宇宙工学系に進み、大きな挫折を繰り返しながらも、幸いにも俺は第一志望にしていた大学の院試に合格した。
正直、大学からずっと所属している人間は飛び抜けて優秀だったが、もう劣等感を抱くことはなかった。ただコツコツと研究と実験を重ね、修士課程まで終えた段階で幸いにも希望していた重工業系のメーカーから、研究職として採用してくれるという話が出た俺は考えた末に、一旦就職を選んだ。
1年後、会社の協力もあり社会人枠で院に在籍――今度は博士課程として――する頃には、桃ちゃんセンセの言葉を思い出すことはあっても声もとっくに忘れていたし、いい思い出に変わっていた。
なのに。

